ロタウイルスワクチン

このページはロタウイルスワクチンの解説ページです。

ロタウイルスワクチンは定期接種の1つです。定期接種とは公費負担で自己負担なく接種できるワクチンです。

おすすめの接種スケジュール

ロタウイルスワクチンは、注射タイプではなく、口から飲むタイプのワクチンです。赤ちゃんでも飲みやすいように甘い味がつけられています。

ロタウイルスワクチンはロタリックス(GSK:1価ワクチン、2回接種)、ロタテック(MSD:5価ワクチン、3回接種)の2種類があります。ロタリックスが2011年11月に、ロタテックが2012年7月に発売されています。

接種スケジュールはロタリックス(GSK:1価ワクチン)が2回接種、ロタテック(MSD:5価ワクチン)が3回接種と、回数が異なります。

共通するのは初回接種は生後6週以降、生後14週6日以内に終えることが推奨されていることです。

ロタウイルスワクチンは1回の接種では十分な免疫を作ることができないため、生後2ヶ月から2回あるいは3回内服することが必要です。

生後2か月が来たら肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、五種混合ワクチンと同時接種を受けましょう。

なお、2種類あるワクチンはどちらも効果、副作用ともに差がないとされています。

当院では効果も副作用も同等ながら接種回数が少なく、赤ちゃんや保護者の負担軽減につながるロタリックスを主に採用しており、そのスケジュールを示します。

ロタリックスを接種する場合

【接種回数2回】

  • 1回目
    • 生後2ヶ月(他のワクチンと5種類同時接種)
    • (初回接種は生後14週6日以内の接種を推奨)
  • 2回目
    • 1回目から4週間隔で2回目

初回接種を生後14週6日(生後3ヶ月半)以内に終えることが重要です。逆に生後15週以降の接種は後に述べる腸重積という合併症が増えるため推奨されていません。

1回目に他院でロタテックを接種され、2回目や3回目を当院で接種を受けたい場合や、初回からロタテックを希望される場合も翠こども・耳鼻咽喉科クリニックで接種することが可能です。

ロタテック以外のワクチンを予約した上で、お電話で調整いたしますのでお気軽にご相談ください。

ロタウイルスワクチン接種時のワンポイント

1 来院までに・・・

ロタウイルスワクチンはお口から赤ちゃんに飲んでもらうタイプのワクチンです。そのため直前に授乳していると、満腹のためワクチンをなかなか飲めないことがあります。

ロタウイルスワクチン接種時は予約時間の1時間前までに授乳を済ませておくことがポイントです。

2 帰宅後の過ごし方

赤ちゃんの様子に変わりがなければ、いつも通り過ごしていただいて問題ありません。当日の入浴も可能です。

授乳やミルクは接種後30分以上経ってからあげるようにしてください。

ワクチン接種後は軽い胃腸炎や、後に述べる腸重積という合併症を引き起こすことがごく稀にあります。

また、ワクチン接種後1週間程度は赤ちゃんの便の中にウイルスが排泄されますので、これにより周りの人が胃腸炎を発症する可能性は低いですが、念のためおむつ交換など便を扱う時には手洗いを十分におこなってください。

接種後1週間程度は赤ちゃんの体調の変化に注意してください。いつもと様子が違うことがあればお気軽にご相談ください。

3 保育園に通っていたら

赤ちゃんがもしも保育園に通っている場合は

  • ロタウイルスワクチンの接種を受けたこと
  • 胃腸炎や体調不良があった際には連絡してもらうこと

をお伝えしておくと安心です。

接種で回避できる病気

1 ロタウイルス胃腸炎

ロタウイルスワクチンはその名の通りロタウイルスによる感染(ロタウイルス胃腸炎)を予防するワクチンです。

ロタウイルス胃腸炎は、乳幼児の急性重症胃腸炎の主な原因のひとつです。

ごく少量のウイルス量でも容易に感染し、1〜3日の潜伏期間の後、通常は発熱と嘔吐から症状が始まり、その後に水のような下痢(便が白くなることもあります)を何度も起こすことが特徴です。

下痢により水分が失われて脱水症を引き起こすことがあり、重症化することもあります。

その他けいれん、脳炎・脳症、心筋炎、酷い腎臓機能の低下など致死的な合併症を起こすこともあります。

2 絶大な効果を誇るワクチン

ロタウイルスには多くの種類(型)があり、5歳頃までに少なくとも1回以上はかかり、はじめての感染時に最も重症化しやすいとされています。

1つの型に免疫ができても違う型には抵抗が弱く、複数回かかることもあります。幸い2回目以降は重症化する可能性は低くなります。

そしてロタウイルスに感染をした乳幼児40人に1人が重症化するとされています。

5歳までに必ずかかり、初回感染が一番重症化しやすく、その確率は40人に1人と、非常に怖いロタウィルス感染症。実際日本では毎年80万人が外来を受診し、3万〜8万人が入院、約10人が死亡していたとされています。

しかし、ワクチンのおかげでロタウイルス感染症による入院数、死亡数は減少してきています。

ロタウイルスワクチンは感染を80%、さらに重症化を90%減少させるという素晴らしい効果があります。

大切な赤ちゃんを守るためにも生後2ヶ月から接種をはじめましょう。

ロタウイルスワクチンの安全性と副反応

ロタウイルスワクチンはWHO(世界保健機関)でも子どもが接種する最重要ワクチンのひとつに位置付けられています。

主な副反応として軽度のロタウイルス感染と同様の症状と、ごくまれですが重篤な腸重積という合併症があります。

ロタウイルスワクチン副反応

5%以下(100人中5人以下)

  • 下痢、嘔吐、発熱など→軽症が多く経過観察でも大丈夫な例が多い

10万人に1人以下

  • 腸重積

軽い下痢や嘔吐は軽症のことが多いため、赤ちゃんが元気であればご家庭で様子をみても大丈夫です。もしも心配な際にはクリニックにご連絡ください。

一方で腸重積は、腸と腸が重なり合うようにはまり込む病気です。腸が入り込むことにより、腸管の血流が悪くなり腸の組織に障害を起こし、発見が遅れると死に至る場合もあります。

突然はげしく泣く、機嫌が良かったり不機嫌になったりを繰り返す、嘔吐する、血便がでる(いちごゼリー状の血便)、ぐったりして顔色が悪いなどの症状が、特にワクチン接種後7日以内に見られた場合は医療機関への受診が必要です。

当院が診察していない時間帯であれば夜間救急・相談窓口に相談してください。

腸重積の合併症は1回目接種の月齢が高いほど多いことが知られています。そのため、生後2ヶ月になればすぐに1回目の接種がすすめられています。

さらに詳しく知りたい方

日本小児科学会こちらのページも大変わかりやすいので参考にしてみてください。

さらに詳しく知りたい方は厚生省の解説ページも御覧ください。