このページは肺炎球菌ワクチンの解説ページです。
肺炎球菌ワクチンは定期接種の1つです。定期接種とは公費負担で自己負担なく接種できるワクチンです。
おすすめの接種スケジュール
肺炎球菌には90以上の型がありますが、現在日本で採用されている肺炎球菌ワクチンは、重篤な感染症を引き起こす13の型に対するワクチンです。
1回の接種では十分な免疫を作ることができないため生後2ヶ月から4回接種することが必要です。
生後6か月以降からかかる赤ちゃんが増えるので、生後2ヶ月から6か月までに最初の3回接種を終えましょう。
また3回だと効果が長続きしないことがわかっています。1歳から2歳までの間に追加接種(4回目)を受ければ安心です。
生後2か月が来たらすぐにヒブワクチン、B型肝炎、ロタウイルス、四種混合ワクチンと同時接種を受けましょう。
【接種回数4回】
- 1回目
- 生後2ヶ月〜6ヶ月(他のワクチンと5種類同時接種)
- 2回目
- 1回目から4週間隔で2回目
- 3回目
- 3回目から4週間隔で3回目
- 4回目
- 3回目から60日以上の間隔をあけて、生後12か月~15か月に4回目
初回接種が生後2ヶ月〜6ヶ月という標準期間を過ぎても、5歳まで(6歳未満)は定期接種として接種可能です。
生後7ヶ月以降から打ち始める場合は接種回数や間隔が異なります。翠こども・耳鼻咽喉科クリニックではこうしたケースでも接種できますのでお気軽にご相談ください。
接種で回避できる病気
1 細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)
ヒブワクチンで予防するインフルエンザ菌と同様、肺炎球菌が脳や脊髄(せきずい)を包む髄膜(ずいまく)に感染すると細菌性髄膜炎を引き起こします。
髄膜炎は、早期だと熱と不機嫌くらいで、血液検査をしてもかぜと区別できないことも多く、診断が困難なことも少なくありません。
進行すると嘔吐する、ぐったりする、けいれん、意識がなくなるなどの症状が出てきます。
抗菌薬が効かない耐性を持つ肺炎球菌も多く、適切な治療を行っても重篤になる傾向があります。
肺炎球菌による髄膜炎は感染した場合2%の赤ちゃんが亡くなり(7~10%という報告も)、生存した赤ちゃんの10%以上に難聴、精神発達遅滞、四肢麻痺、てんかんなどの後遺症を残すと言われています。
2 その他
肺炎球菌は鼻やのどなど空気の通り道から侵入し感染症を引き起こします。代表的な感染症として中耳炎や肺炎があります。
その他粘膜から血液の中に侵入し(=菌血症)、本来無菌の場所に感染症を引き起こし全身状態を悪くさせる敗血症をきたすこともあります。いずれも重篤な感染症です。
どの感染症も命を危険に晒すこともある病気ですが、幸い肺炎球菌ワクチンの接種率向上により肺炎球菌による髄膜炎は70以上も減少したとされています。お子さんを守るためにもできるだけ生後2ヶ月から接種を開始しましょう。
肺炎球菌ワクチンの安全性と副反応
肺炎球菌ワクチンは世界ですでに50カ国以上で定期接種とされている非常に安全性の高いワクチンです。またWHO(世界保健機関)が最重要ワクチンの一つとして、すべての国で定期接種にすべきだと勧告しています。
主な副反応として
【全身症状】10-20%
- 38℃以上の発熱、機嫌が悪い
【局所症状】70%
- 接種部位の腫れ、発赤
いずれも軽度で24時間以内に治まるとされていますが、ぐったりしている、顔色が悪いなどがあればご連絡ください。
さらに詳しく知りたい方
日本小児科学会やこちらのページも大変わかりやすいので参考にしてみてください。
さらに詳しく知りたい方は厚生省の解説ページも御覧ください。