日本脳炎ワクチン(修正済み)

このページは日本脳炎(にほんのうえん)ワクチンの解説ページです。

日本脳炎ワクチンは定期接種の1つです。定期接種とは公費負担で自己負担なく接種できるワクチンです。

日本脳炎ワクチンとは?

日本脳炎ワクチンとは、日本脳炎に対するワクチンです。

日本脳炎は日本脳炎ウイルスによっておこる、重篤な感染症です。

おすすめの接種スケジュール

日本脳炎ワクチンは1期初回接種として2回、1期追加接種、2期にわけて合計4回接種します。

定期接種の1期として接種可能な時期は生後6か月~90か月(7歳6か月)まで、2期は9歳~13歳未満となっています。

1期初回接種は3歳での接種が標準的接種時期とされていますが、生後6ヶ月から定期接種として接種可能です。西日本で3歳未満の子どもの日本脳炎発症例がみられたことから流行地域では生後6ヶ月からの接種が推奨されています。

具体的には熊本県で2006年に3歳児、2009年に7歳児、高知県で2009年に1歳児、山口県で2010年に6歳児、沖縄県で2011年に1歳児、福岡県で10歳児、兵庫県で2013年に5歳児、2015年千葉県で生後11か月児の日本脳炎症例が報告されました。

翠こども・耳鼻咽喉科クリニックでも生後6か月からの接種を推奨しています。日本脳炎ウイルスは蚊が媒介するので、当院では蚊の活動性が高まる前の3~4月頃での接種を行っています。

※生後6か月~3歳未満は1回接種量が0.25ml、3歳以降は0.5mlと接種量が異なります。1期接種を初回接種から追加接種まで全て0.25mlで済ませた場合でも、抗体上昇には問題がないことが確認されていますので、標準的な2期接種の時期(9歳以上13歳未満)までの間に、それ以上の追加的接種をする必要はありません。

2回目を、初回から6日〜28日開けて接種します。

3回目(1期追加接種)を、2回目接種から6ヶ月以上開けて接種します。標準的にはおおむね1年後とされており、翠こども・耳鼻咽喉科クリニックでも1年後接種を推奨しています。絢子確認

ここまでの接種を7歳6ヶ月までに済ませましょう。

4回目(2期)を9歳から12歳の間(13歳未満)に接種しますが、9歳での接種がおすすめです。絢子確認

日本脳炎ワクチンは4回接種で、それぞれ接種間隔に幅があるためどのタイミングで接種すれば良いか迷う方もおられると思いますので、翠こども・耳鼻咽喉科クリニックで採用している標準スケジュールを下記に示します。絢子確認

※特例措置について

日本では以前の古いタイプの日本脳炎ワクチン接種後に急性散在性脳脊髄炎という重い病気になった方がでたために、2005年から2009年まで日本脳炎予防接種の勧奨を控えていました。現在はより安全な新たなワクチンが開発され、日本脳炎の予防接種を通常通り受けられるようになっています。このときに接種ができなかった方を対象に特例措置として以下の方も接種対象者となっています。

・1995年(平成7年)4月2日生まれ~2007(平成19年)4月1日生まれの方で20歳未満の方

・日本脳炎ワクチンの4回接種が完了していない方

上記対象期間に生まれた方は日本脳炎ワクチンの接種回数を母子健康手帳で確認しておきましょう。

日本脳炎ワクチンの接種スケジュール

【接種回数4回】

  • 1回目(1期初回)
    • 生後6か月以降の3月頃
  • 2回目(1期初回)
    • 1回目から3週〜4週間後に2回目
  • 3回目(1期追加)
    • 2回目の接種からおおむね1年後
  • 4回目(2期)
    • 9歳

    接種で回避できる病気

    日本脳炎

    日本脳炎ウイルスに感染した豚の血液を吸った蚊を介して感染する病気です。日本を含む東南アジアで流行しやすい感染症です。

    日本脳炎ウイルスに感染しても症状がでるのは100-1000人に1人で、多くが無症状です。しかし症状が出た場合は名前の通り脳炎と髄膜炎症状で、発熱、頭痛、痙攣(けいれん)、意識障害など重篤となり、発症者の約20-40%が死亡してしまう大変怖い感染症です。また生存したとしても50-70%で精神障害などの重篤な合併症が残るとされています。

    有効な治療は確立されておらず、ワクチンでの予防がとても重要になります。

    ワクチンが普及する前に比べ日本ではその感染者数は大きく減少していますが、それでも年間10人以下の報告があります。

    日本脳炎ウイルス保有のブタが多く確認されている西日本では特に接種が推奨されます。世界的にみると日本は感染リスクが高い国であり、西日本以外に在住している場合でも接種が推奨されます。旅行者からの輸入感染の可能性もあり、広島にお住まいの方もワクチンをきちんと接種しましょう。

    日本脳炎ワクチンの予防効果

    日本脳炎ワクチンのうち、最初の2回で最初の免疫が得られ、3回目(4歳)接種でさらに免疫が定着します。

    その後徐々に免疫は下がりますが第2期の4回目(9歳)を追加接種することで長期の免疫を獲得できるとされています。

    乳幼児期の3回はもちろん、小学生3年生~4年生での4回目まで忘れずに接種しましょう。

    ワクチンをきちんと接種することで75~90%も感染するリスクを軽減できるとされています。

    日本脳炎ワクチンの安全性と副反応

    ワクチン接種による局所的な副反応(接種部位の腫脹・発赤、軽丼発熱)以外に、日本脳炎ワクチンに特有な副反応はありません。

    発熱や接種部位の腫脹はともに3%以下ですが、発熱は1回目の3日以内に多く、接種部位の腫脹は4回目に多いようです。

    日本脳炎ワクチン副反応

    主な副反応の心配は少ない

    さらに詳しく知りたい方

    日本小児科学会こちらのページも大変わかりやすいので参考にしてみてください。

    より詳しく知りたい方は厚生省の解説ページも御覧ください。