このページはヒブワクチンの解説ページです。
ヒブワクチンの由来
ヒブワクチンは定期接種の1つです。定期接種とは公費負担で自己負担なく接種できるワクチンです。
インフルエンザ菌b型という細菌による感染症を予防するワクチンで、Heamophilus influenzae typebの頭文字をとってヒブワクチンと呼ばれています。
冬に高熱をきたす「インフルエンザ」はインフルエンザウイルスによる感染症で、その予防ワクチン「インフルエンザワクチン」とも全くの別物です。
ヒブワクチンと五種混合ワクチン
ヒブワクチンは2024年3月までは単独で接種していましたが、2024年4月以降は四種混合ワクチンと混合され五種混合ワクチンとなりました。ただそれまでに出生した赤ちゃん、すでにヒブワクチンと四種混合ワクチンを別々に接種し始めた赤ちゃんは五種混合ワクチンへの切り替えはせず、それぞれのワクチンを接種することになっています。
五種混合ワクチンについては詳しく解説しているページもありますので参考にしてください。
おすすめの接種スケジュール
後述するインフルエンザ菌による重篤な感染を予防するワクチンですが、接種することで感染リスクを95%以上減らすことのできる優れたワクチンです。
ただ1回の接種では十分な免疫を作ることができないため生後2ヶ月から4回接種することが必要です。
重篤になりやすい細菌性髄膜炎は生後6か月以降からかかる赤ちゃんが増えるので、6か月までに最初の3回接種を終えておきましょう。
生後2ヶ月時点でロタウイルスワクチン、小児用肺炎球菌、B型肝炎ワクチンと同時に五種混合ワクチンとして同時接種が最もおすすめです。
さらに1歳代に追加接種をしないと効果が長続きしないことがわかっています。4回目までの接種を心がけましょう。
【接種回数4回】
- 1回目
- 生後2ヶ月〜6ヶ月(他のワクチンと4種類同時接種)
- 2回目
- 1回目から4~8週間隔で2回目
- 3回目
- 2回目から4~8週間隔で3回目
- 4回目
- 1歳になったら早めに4回目(3回目から7ヶ月以上あけて)
初回接種が生後2ヶ月〜6ヶ月という標準期間を過ぎても、4歳まで(5歳未満)は定期接種として接種可能です。
生後7ヶ月以降から打ち始める場合は接種回数や間隔が異なります。翠こども・耳鼻咽喉科クリニックではこうしたケースでも接種できますのでお気軽にご相談ください。
5歳以上でも10歳までは任意接種(自費)可能です。重篤な感染を予防できる大切なワクチンですので接種忘れの方はご相談ください。
接種で回避できる病気
1 細菌性髄膜炎(さいきんせいずいまくえん)
脳や脊髄(せきずい)を包む髄膜(ずいまく)に感染して細菌性髄膜炎を引き起こします。
髄膜炎は、発症早期は熱と不機嫌のみで血液検査をしてもかぜと区別できないことも多く、診断が困難なことも少なくありません。
進行すると嘔吐する、ぐったりする、けいれん、意識がなくなるなどの症状が出てきます。
抗菌薬が効かない耐性菌による場合も多く、適切な治療を行っても3~6%が亡くなり、20〜30%くらいに脳の後遺症が残るとされています。また、一見後遺症が無いように見えても、成長して軽度の知能低下が見つかることもある、とても怖い病気です。
2 急性喉頭蓋炎(きゅうせいこうとうがいえん)
口から入った空気は、のど(喉頭)から気管、肺へと到達しますが、同じく口から入る食べ物が気管に入らないように蓋(ふた)をするのが喉頭蓋(こうとうがい)です。
その喉頭蓋にインフルエンザ菌が感染すると喉頭蓋の粘膜が腫れてしまいます。これを急性喉頭蓋炎と呼びます。
つばを飲むのも一苦労なほどののどの痛みや息が苦しくなるなどの症状が出て、重篤な場合は窒息することもある大変怖い病気です。
どちらも命を危険に晒すこともある大変危険な病気ですが、幸いヒブワクチンにより99%以上感染を減らすことができるようになりました。お子さんを守るためにもできるだけ生後2ヶ月から接種を開始しましょう。
ヒブワクチンの安全性と副反応
ヒブワクチンは世界ですでに30年以上の実績のある非常に安全性の高いワクチンです。また日本での市販後の調査でも安全性が高いことが確認されています。
またWHO(世界保健機関)が最重要ワクチンの一つとして、すべての国で定期接種にすべきだと勧告しているものです。
主な副反応としては接種部位の腫脹(はれ)、痛み、発赤が挙げられますがいずれも軽度で24時間以内に治まるとされています。
五種混合ワクチンでも同様と
さらに詳しく知りたい方
日本小児科学会やこちらのページも大変わかりやすいので参考にしてみてください。
さらに詳しく知りたい方は厚生省の解説ページも御覧ください。