- いつも鼻がつまっていて、何のアレルギーか知りたい
- 毎年春・秋に出る鼻症状。もしかして花粉症?
- 実家の犬と遊ぶとくしゃみが出るけど、もしかして犬アレルギー?
- 鼻が悪くて困っていて、舌下免疫療法をしたい
- 食物アレルギーが心配・・・
- 注射の採血が苦手・・・
- 結果を聞きに来る時間がない・・・
- 今日結果を聞いて帰りたい!
こんなお悩みをお持ちの方におすすめな「ドロップスクリーン」という採血機器を紹介します。
ドロップスクリーンとはなんですか?4つの特徴
注射器をつかわず、わずか1滴で検査可能
アレルギーの採血、と聞くと手を縛ってチクッと刺す採血をイメージされると思います。大人にとっても痛いですし、小さいお子さんにとってはとても怖いものだと思います。
そんな不安を解消するのが新しい採血機器ドロップスクリーンです。
ドロップスクリーンを使うと、なんと細い針で指先にちょんと傷をつけ1滴の血液を取るだけで検査ができてしまいます。
1滴と聞いてもピンとこない方もいるようなのでこの1滴という量がどのくらい少ないかを、通常の採血と比べながら説明してみます。
一般的なアレルギーの採血は調べる項目に応じて必要な採血量が変わるため一概には言えませんが、ここではドロップスクリーンを採用するまでに頻用していた、39項目のアレルギー項目を測定するView39という検査を例に出してみます。
ドロップスクリーンが41項目を測定しますので類似した検査内容になります。
View39に必要な採血量が3mLとされており、ドロップスクリーンは20μLとされています。
mL(ミリリットル)とμL(マイクロリットル)は、どちらも体積を表す単位ですが 1mLは1,000μLとなります。
従って、従来の採血であるView39が3mL=3,000μLに対し、ドロップスクリーンは20μLですので150倍も違うことになります。
そんな超微量で検査ができてしまうため、もちろん全く痛く無いとは言いませんが、かなり痛みも少ない検査と言えます。
大人でも注射が苦手な方はいらっしゃいますし、お子さんにとっても簡単に受けられる検査です。
最短30分で結果が判明
従来のアレルギー採血は外注検査(外部の検査会社に委託)となるため、最短でも結果が出るまで3−5日必要でした。そのため採血日と結果説明日と2回受診する必要がありました。
それに対しドロップスクリーンは、なんと30分で結果が出ます。
もちろん実際には採血前の診察や結果説明にそれぞれ待機時間が発生しますが、なかなか来院する時間が取れない方には朗報です。
当日採血をご希望の場合には午前は12時00分(土曜は12時30分)、午後は17時30分までに採血が可能なようお願いします(それ以降は診察時にご相談ください)
なお当日結果がわかりますが、当日必ずしも聞く必要はありません。定期内服薬がなくなる次回受診時に結果をお話することも実際には多いです。院内でお待ちいただくか、次回説明とするかはどちらでも選択いただけます。
1滴で41項目のアレルギーが検査可能
わずか1滴の血液と30分という短い待ち時間ですが、ドロップスクリーンはなんと41項目もアレルギーの判定ができます。うちわけは
- スギ、ヒノキ、ダニ、ハウスダストなどの吸入系アレルギー抗原19項目
- 卵、小麦など食物系アレルギー抗原22項目
となります。
保険適応=自己負担が少なく検査可能
1滴で41項目もアレルギーの検査ができて30分で完了してしまう夢のようなドロップスクリーンですが、ありがたいことに保険を使って検査が可能で、自己負担が軽く済みます。
もちろん「ただ知りたい」という興味本位で調べることはできず、病歴や症状からアレルギーの可能性がある場合に限りますし、そのために診察が必要になります。
ドロップスクリーンの検査費用は3割負担の方が約5,000円です(諸経費含む)。それに初診・再診の診察料と、処方された場合には処方箋料などが必要です。
この費用は、血液量で比較した従来の類似採血であるView39よりも少し安い設定です。
さらに、ドロップスクリーンは保険診療のため広島市のこども医療費の補助ももちろん適応されます。つまりドロップスクリーンを行ったからといって自己負担額が増えることもありませんのでどうぞご安心ください。
ただし、当院は対象年齢を6歳1ヶ月以降としている点はご了承ください(この理由は後述します)。
とはいえ乳児医療の適応外のお子さんや、3割負担の方にとって自己負担5,000円は決して安いとは言えませんので、
- 乳児医療がある、採血が苦手、調べたいアレルゲンが多い→ドロップスクリーン
- 3割負担の方で一般採血が可能→一般採血
を当院ではおすすめします。
ドロップスクリーン検査の流れ
まず検査を受ける方が6歳1ヶ月以上であることをご確認ください。
その上でWeb予約から耳鼻科あるいは小児科の通常診察の予約をお取りください。そして問診にドロップスクリーンを希望する旨を入力するか、来院後にスタッフや医師に検査希望をお伝えください。
耳鼻科・小児科ともに当日の順番予約と事前に取得可能な時間帯予約があります。
アレルギーの検査をする上で症状の有無をお聞きしたり、検査について説明します。診察で問題がなければ検査に回っていただきます。採血は指先に細い針を刺すだけで簡単に終わります。
30分で検査結果が出ますので当日検査結果を聞いて帰る場合には院内でお待ちください。ただし、一般診療のご予約の患者さんも多くおられますため混雑具合によっては検査結果が出ても待ち時間が生じることがあります。どうぞご了承ください。
ドロップスクリーンでわかること・わからないこと
ドロップスクリーンでわかること
- スギ、ヒノキ、ダニ、ハウスダストなどの吸入系アレルギー抗原19項目
- 卵、小麦など食物系アレルギー抗原22項目
という41項目の評価が1度にできます。
例えばスギ抗原に陽性と出た場合には2月中旬からゴールデンウィーク明けまでに注意するなど生活指導も行います(ヒノキ花粉症も含む)。
あるいはダニ・ハウスダストが陽性でアレルギー性鼻炎の症状でお困りなら舌下免疫療法をご案内することもあります。
ドロップスクリーンでわからないこと
逆にドロップスクリーンでわからないこともあります。
- アレルギーの重症度
- 食物アレルギーの真の評価
これらの評価は慎重になる必要があります。
ドロップスクリーンではアレルギーの強さを0〜6までのクラス分けをしていますが、「アレルギーの強さ=重症度」ではありません。
アレルギーの強さはあくまでアレルギーを起こしやすいかどうか?を示すもので、重症度とは症状が強いかどうかを示すものだからです。
例えば採血結果と重症度は瞬発力とスポーツのようなもので、瞬発力が高い(数字が高い)からと言ってスポーツで強い(重症)ではない、と言えばわかるでしょうか。
また食物アレルギーについては、ドロップスクリーンはスクリーニング検査であり、確定診断のための検査ではないことには注意が必要です。
つまり、ドロップスクリーンで食物について陽性と出た場合は、「アレルギーの可能性がある」くらいの解釈で、本当にアレルギーであるかどうかを知るためには追加の検査が必要です。
またすでに食べて問題ないことわかっているものがドロップスクリーンで陽性と出ても基本的には心配ないだろうと思います。
もちろん潜在的にアレルギーを持つ可能性もあるため食べる時には症状が出ないか少し気に留めておくと良いでしょう。
当院は食物アレルギーについて、実際に食べ物を食べてもらいアレルギーが出るかを確かめる負荷試験も乳幼児に対しては行っていますが、当院のドロップスクリーンの対象である6歳以上の方への負荷試験は行っておりません。
ご希望の場合にはアレルギーを専門に標榜している医療機関を紹介いたします。
ドロップスクリーンのメリット・デメリット
ドロップスクリーンのメリット
- 採血量が極微量で痛みもわずか
- 最短30分という短時間で結果が出る
- 子どもにも負担が少ない
- 1度に41項目という複数の抗原を評価できる
- 41項目も計れる割には保険適応で自己負担が軽く検査が可能
- 舌下免疫療法を開始できる
多くはこれまで説明した内容と重複していますが、ドロップスクリーンのメリットとして舌下免疫療法を始めることができるという点も重要です。
スギ花粉やダニアレルギーに限りますが、一般的な治療は症状を抑える対症療法であることに対し、舌下免疫療法は根治が期待できる治療になります。
その舌下免疫療法を始めるには、採血でスギやダニアレルギーが確定していることが条件で、ドロップスクリーンでの採血でも開始することができます。
ただしスギ花粉に対する新規での舌下免疫療法は薬剤の流通が制限されており、当院に限らず全国の多くの施設で新規に開始することができない状況になっています。
ダニアレルギーの方は新規でも舌下免疫療法を開始することができます。
舌下免疫療法についてはこちらに詳しく解説していますのでご覧ください。
ドロップスクリーンのデメリット
- 重症度は評価困難
- 従来の採血に比べ若干精度が落ちる可能性
- 食物アレルギーについてはスクリーニング→負荷試験が必要
- 41項目のパッケージ→項目の増減ができない
- アレルギー性鼻炎について知るには比較的高額
- 他の採血と一緒に検査できない
ドロップスクリーンのデメリットについても紹介します。
結果の評価については一応デメリットとして挙げましたが、開発当初は従来の方法に劣っていたものの開発が進み、概ね乖離も少なくなってきているようです。あまり心配しなくて良いというのが当院の見解です。
ドロップスクリーンは41項目のパッケージになっています。そのため項目の増減ができない点と、炎症反応や非特異的IgE抗体というアレルギー全般の指標などを測りたいと思っても評価することはできません。
血液型など、なにか別の採血項目も合わせて行う場合には従来の採血の方が柔軟な変更ができます。
費用については、ドロップスクリーンは検査費用だけで言えば3割負担の方が約5,000円です(検査単独費用。処置や処方箋発行有無で別途費用が発生します)。
例えば花粉症・アレルギー性鼻炎が心配で一般的な方法で採血をする場合、当院ではダニ・ハウスダストに春の花粉(スギ・ヒノキ)、秋の花粉(カモガヤ・ブタクサ)、カビの7項目を基本パッケージとし、希望があれば動物(イヌ・ネコ)などを追加します。
上記の7項目の基本採血だと、3割負担の方でおおよそ3,000円となりますのでドロップスクリーンより2,000円ほど安くなります。こうした比較をもとに
- 乳児医療がある、採血が苦手、調べたいアレルゲンが多い、当日結果を知りたい→ドロップスクリーン
- 一般採血が可能、結果は後日で良い→一般採血
と当院では考えています。
こうした理由で、アレルギー性鼻炎について知りたい方で、採血が問題なく可能な方にはドロップスクリーンよりも一般的な採血を当院ではおすすめしています。
ドロップスクリーンの対象年齢
指先から1滴の血液を採取するのみですので検査自体は0歳の赤ちゃんでも可能ですが、当院では対象年齢を6歳1ヶ月以上としています。
理由は2つあり、まず当院は5歳以下の小児患者さんの診療報酬を検査費用ごとの出来高ではなく、診療の内容に関係なく一律の点数を請求するという体制を取っているためです。
ドロップスクリーンは検査原価も非常に高額で、残念ながら保険診療としていただく金額を検査費用が大きく超えています。つまり検査をすればするほど赤字になる構造上の問題ですのでご理解のほどよろしくお願いいたします。
もう1つは、一部の食物を除きアレルギーの罹患率は乳幼児だと極端に低く、学童期以降に一気にあがるためです。
例えばスギ花粉症は4歳以下だと有病率が3.8%と非常に少ないのに対し5歳〜9歳で30.1%、10歳〜19歳49.5%という日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が大々的に行った調査研究があります。
つまり3歳や4歳でスギ花粉やダニが陰性で安心していても、5歳や6歳で陽性に出ることが十分にあるのが現状です。
この2点から当院では6歳1ヶ月以上を対象としています。
5歳以下でアレルギー採血を希望される場合には、1歳や3歳以上を対象年齢としているクリニックもありますのでHPなどでお調べになると良いでしょう。また一般的な採血で個別のアレルギーの検査を希望される場合には小児科で予約、ご相談ください。
ドロップスクリーンのよくある質問
ドロップスクリーンについてよくある質問・疑問を集めました。クリックすると回答を見ることができます。
ドロップスクリーンは診察でアレルギーの可能性が疑われると判断された場合は保険診療で検査を受けることができます。ドロップスクリーン自体は3割負担の方で約5,000円で、その他に通常の診察時と同等の費用が必要です(初診・再診などの診察料や処方箋発行、処置費用など)。
広島市にお住まいの方はこども医療費補助の対象で、ドロップスクリーンを受けたからといって自己負担が増えることもありません。
ドロップスクリーンは診察でアレルギーの可能性が疑われると判断された場合は保険診療で検査を受けることができます。
ドロップスクリーン自体は3割負担の方で約5,000円で、その他に通常の診察時と同等の費用が必要です(初診・再診などの診察料や処方箋発行、処置費用など)。
一方で、広島市にお住まいの方はこども医療費補助の対象で、ドロップスクリーンを受けたからといって自己負担が増えることもありません。
現時点では検査のみのご予約は受け付けておりません。
当日の順番予約と事前に取得可能な時間帯予約がありますのでWeb予約から耳鼻科・小児科の通常診察の予約を取得し、問診にドロップスクリーン希望と入力ください。
あるいは来院後にスタッフや医師に検査希望をお伝えください。
ドロップスクリーンは1人30分かかります。採取した採血をしばらく保存できるため、3人までなら1度に採血をして順次器械で測定すれば同じタイミングで測定することができます。この場合、結果は後日伝えることになります。
4人以上の場合はご相談ください。
当日結果をお聞きしたい場合には30分後に結果が判明したのちに結果をお話いたします。一般診療を行っていますので結果が出て直ちにお通しできず、多少待ち時間が発生しうることはご理解ください。
また当日は検査だけを受けて後日結果をお話することも可能です。日々の診察では、後日の結果説明を希望されることが多いです。
一般診療の中の検査ですのでもちろんアレルギー以外についてもお気軽にご相談ください。
手技としては生後すぐの赤ちゃんでも受けていただけますが、当院では6歳1ヶ月以降の方を対象としています。
本文中に詳しく説明していますのでご覧ください。
- 採血が苦手な方
- 当日結果を知りたい方
- 多くの子どもさん
- 幅広くアレルギーを知りたい方
にとってはドロップスクリーンが圧倒的におすすめです。
痛みが少ないこと、当日結果が出る、検査項目が多いなどは一般採血にない独自のメリットだからです。
一方、特にアレルギー性鼻炎に関してのご相談であれば
- 当日結果を知らなくても良い方
- 採血が特別苦手でもない方
- 乳児医療をお持ちでない(採血が可能な)小学生以上の子どもさん
は一般採血の方がおすすめです。
個別で必要な項目のみを測定すれば金銭的な負担も最小限で済むためです。
またアレルギー以外の他の項目(血液型、炎症反応や肝機能など)を調べる場合や、ドロップスクリーンに含まれていないアレルゲンの評価も、一般採血なら一度の採血で対応できます。
ドロップスクリーンに限らず、アレルギーの原因を知る恩恵はいくつかあります。
1つは、原因を知ることで発症時期や治療期間をあらかじめ予測できることです。
例えばスギやヒノキが陽性とわかれば、それぞれの飛散期である2月中旬からゴールデンウィークまでは用心したり、症状が出る前に予防投与をすることで症状を軽減させることができます。
またホコリやダニが陽性とわかれば、これまで以上に掃除など身の回りに気を配ることで症状を緩和させることができるかもしれませんし、1年を通して治療を継続した方が快適に過ごせるかもしれないとわかります。
またスギやダニアレルギーがひどい場合には舌下免疫療法という根治治療が選択肢となりますが、アレルゲンの特定が必須です。
ドロップスクリーンの検査結果で陽性であれば舌下免疫療法を行うこともできます。
舌下免疫療法についてはこちらに詳しく解説していますのでご覧ください。
ドロップスクリーンをはじめとしたアレルギー検査で陰性と出ても「アレルギーではない」とは断言できないのが正直なところです。
いくつか理由がありますが、検査には限界があることと、似たような症状を呈する病気が他にも存在することなどが挙げられます。
実際には、症状がある場合にはアレルギーに準じた投薬することで改善があることも多いためどのように治療を進めていくかは診察時に相談させてください。
ドロップスクリーンで陰性でも「アレルギー性鼻炎(花粉症)ではない」とは言えません。
すべてを説明すると膨大になるため簡単に説明すると、採血で反映されるほどではなくても、鼻粘膜など局所のみでアレルギー反応が起こることもありますし、たまたま測定した抗原と反応がなかっただけで、測定していない抗原に反応して症状を呈している場合もあります(カビやペットの毛など)。
またアレルギーとは全く別の機序で似たような症状を呈す病気もたくさんあります。
治療としてはアレルギー性鼻炎に準じた対応や疾患に応じた治療を行いますので診察時に相談させてください。
ドロップスクリーン自体は手技としては生後すぐの赤ちゃんでも受けていただけますが、当院では6歳1ヶ月以降の方を対象としています。
本文中に詳しく説明していますのでご覧ください。